iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024参加レポート 人生最良の記憶(Day 1)

お知らせ

2025年大会の開催直前となりましたが、昨年の大会に安井行生さんとお子さんが参加を頂いていました。(今年もご参加予定です)
親子参加の方は今年のご参考に、
お子さんがお留守番の方は来年の参考にしてみてください!

2024年9月28~29日の二日間にわたって行われたグラベルイベント「iRCタイヤ 白馬グラベルミーティング」に、数年前からグラベルにどっぷりはまっているという自転車ジャーナリストの安井行生が参加。父親と同じく自転車が大好きな息子の裕馬君を連れて。安井親子の私的な白馬グラベル参加レポート。

妻からの指令

「週末、四国に出張になったので、子供の面倒をお願いできますか」。

という妻からのお伺い。というか命令。

いやそれは困る。白馬で面白そうなグラベルイベントがあり、それに参加してレポートを書くという仕事があるのだ。

とは言えません。こっちは好きなことだけをやってへらへらと生きている浮き草のような身であり、家庭内ではほぼ愛想を尽かされかけている。そうでしたか。では先方に聞いてみますね。と愛想笑いをするのが関の山である。

というわけで、先方(白馬グラベルの担当者であるiRCタイヤの田中さん)に電話をかけ、子供を連れて行っていいでしょうかと聞いてみると、「むしろ大歓迎です」と言ってくれた。確かに、ともするとチャレンジ系アドベンチャー系になってしまいがちな日本のグラベルイベントには珍しく、白馬グラベルのコースはかなり緩い。

二日間に渡って行われるこのイベント、9月28日のDay1は距離約25km、獲得標高約220m。翌日のDay2は、それぞれ約22kmと約250m(もっと走りたい人にはエクストラコースが用意されている)。いずれもグラベル率は40%ほど。

イベントのHPには「これからグラベルを始める人にぴったり」「走行距離は短く、緩く。コース難易度は低く、初心者におすすめ」「会場はMTBで有名な白馬ですが、MTBでないと走れないようなコースではありません」「小学生でも走れる田んぼのあぜ道、河川敷、砂利道がメインとなります」などとある。これならグラベル初心者にはもちろん、息子(小3)のチャレンジとしても最適かもしれない。

ならば連れていってやろう

こんな仕事をしているものだから、一応息子にも自転車を楽しませている。一台目こそ無印のキックバイクだったが、次はキャノンデール、今はスペシャライズドと齢8歳にして車歴もそこそこ華麗だ。一日に十数kmくらいは走ったことがあり、最近は近所の里山を一緒に楽しんだりもしている。しかし、小3にとっては本格的なグラベルで、上りもある白馬のコースを走り切れるかは、親として少々不安ではあった。

学校から帰ってきた息子に聞いてみる。

こうこうこういう自転車の大会があるんだが、どうだろう、出てみたいか?

すると「出てみたい」と元気に即答する。

安井家は家の中に大量の自転車があり、リビングにはいつもオイルまみれのスプロケやらすり減ったチェーンリングやらタイヤやホイールやらが転がっており、当のパパはいつもピタピタの格好をしてうろついて近所からは不審者だと思われているので、息子は自分のことを「自転車のスペシャリストだ」と勘違いをしているようである。ならば連れてってやろう。

というわけで、今年が第一回となる白馬グラベルのレポートを書く、という仕事は、親子参加レポートということにしてもらった。そして、僕らにとって白馬グラベルは、プチという冠詞が付くものではあるものの、「親子自転車挑戦旅行」となった。

一人で行くなら最低限の荷物で最寄り駅まで輪行して自走で現地まで行けばいいやと気楽に考えていたのだが、子連れとなるとそうはいかない。着替え、宿題のノート、おもちゃにお菓子、ポケモンカード、自転車はもちろん2台。家の車は妻が空港に乗っていってしまうので、急いでレンタカーを予約した。

山肌に白い馬が踊る村へ

白馬グラベル、正式名称「iRCタイヤ 白馬グラベルミーティング」は、2024年9月28~29日の二日間にわたって行われるグラベルイベントである。今年が記念すべき第一回で、舞台は白馬村だ。長野県の北西に位置する村で、夏は登山、冬はもちろんスキー、自転車的にはMTBのイメージが強い。長野オリンピックの会場となったことでも有名だ。

ちなみにこの美しい村名は、田植えの時期に村から見える山肌の雪の模様が馬に見えたことから、その山を白馬岳と呼ぶようになり、それがいつしか村名になった、という経緯による。Wikipediaの受け売りですけど。

屈指の山岳国である日本は、グラベルロードが走ることができるオフロードとなると、どうしても急峻な山岳地帯になりがちで、イベントとなると自ずと距離も獲得標高も経験者向けとなりやすい。

しかし白馬グラベルは違う。先述のとおり、二日間の総走行距離は50km以下、獲得標高は計500mほど、未舗装率は約40%と、難易度は低い。もちろんこれは、「このくらいのコースしかとれなかった」ではなく、「あえてこのくらいの難易度に設定した」ということである。

また、ライドだけではなく、メイン会場となるグリーンスポーツ白馬(キャンプ場、BBQ場、釣り堀、遊具、スポーツ設備などがあるレクリエーション施設)には、様々なブースやアクティビティが用意される。知れば知るほど、子連れで参加するには最適なイベントに思えてきて、「子供の面倒をお願いできますか(子供の面倒を見ろ)」という依頼(命令)をしてくれた妻に感謝すらするのだった。

会場オープンは10時なので、当日は4時半に起床し、息子を叩き起こし、5時に出発。前日に「ボヘミアンラプソディー」を観てしまったので妙にQUEENづいており、We Will Rock Youを大音量で鳴らしながらレンタカーで爆走して、9時過ぎに到着。ライドスタートは12時だ。

会場に到着。バイクを組んで受付して着替えてゼッケン付けて補給食買って……とこっちがあたふたしているなか、息子氏は普段あまり見ることのないカエルの捕獲に全集中。

なんとか準備を済ませた息子氏、急に緊張し始める、の図。息子と2人でイベントを走るのはもちろん初めて。他の参加者に囲まれて妙にコーフンしている小さなライダーを隣に携えていると、なんだかちょっと気恥ずかしい。

夢のような一日目

ウインターリゾートというイメージのある白馬だけれど、走り出すと、雄大でありながらどこか素朴な日本の原風景が広がっていた。そのなかを、ちょこまかと走る息子の先になり後になり、ペダルをゆっくりと漕ぐ。

いつもは貧脚なりに頑張ってキリキリ走るのが楽しいが、今日は息子のちょこまかペダリングに合わせてゆっくり走るのが楽しい。

スタート直後。いかにも速そうなライダーに、果敢にも勝負を挑んでいた。

コースの序盤に設置されていたグラベルソファ。後から来た参加者の方に「ちゃんと靴脱いでるw かわいいw」と褒められる。

舗装路セクションもこの景色。金色になりかけた稲穂が美しかった。二日間ともすっきりとした青空にはならず、遠くの山々までは見えなかったが、曇天もまた味わい深い。

午後の光を受けて輝くススキ。この穂の曲線は世界で最も美しいものの一つだと思う。

白馬では、所々ですでに紅葉が始まっていた。

エイドステーションでアイスクリームが振舞われ、無心で掬って口に運ぶ。なぜか内股気味。

森の中を行く。最高の道。グラベル乗っててよかったと思える瞬間。

田んぼの中のあぜ道も多かった。小さな体で頑張って走る。

少しだけ長い上り坂にて、「パパ押してー」「しょうがねぇなぁ……」の瞬間を、僕よりずっと多才な同業者、中谷亮太さんが撮ってくれていた。今回は、仕事仲間や友人たちが僕ら親子の写真を撮って、あとでたくさん送ってくれた。息子が走っている姿はスマホにたくさん入っているが、2人で一緒に走っている写真はほとんどないから、その全部が宝物になった。ありがとうございました。

森の中を行く。最高の道(2回目)。この後、息子は下りで落車をして肘と膝を擦りむいて青あざを作り、涙目になる。

12時にスタートして、走り終えたのは3時くらい。走り終えても、イベントはまだまだ終わっていない。白馬で育ったという道産子、楓ちゃんに乗り……。

豚の丸焼きに目を丸くして舌鼓を打ち……。

BBQプレートにかぶりつき……。

薄暗くなってきた空を舞うMTBライダーの信じられないようなエアショーに大興奮した。

僕は、芝生の上に座って息子が楽しんでいるのを眺めながらぼーっとしていた。イベントでよく合う知り合いと話をしたり、読者の方に声をかけていただき機材談義に花を咲かせたり。大自然の中でかぶりつく豚の丸焼きも野菜たっぷりのグリルプレートも香り高いコーヒーも、どれも自然の恵みを直に体に取り入れているようで、心まで満たされた。

ちなみに、エントリーすると6枚のイベントチケットが配布され、豚の丸焼き、BBQプレート、飲食、シルクスクリーン・ヨガ・乗馬・ラバッジョ洗車体験などのアクティビティ、二日目の朝食に使用できるので、特別なことをしない限り大きなアップチャージなしでライド前後の「のんびりタイム」を満喫できる。そう考えると、大人一人12,000円というエントリーフィーは高くないと思う。

明日もあるから急いで帰る必要はなく、こんな暗くなるまでみんなでわいわい。最後は豪華賞品がもらえる抽選会&じゃんけん大会で、息子は見事にiRCのボトルをゲット。この写真は、バイシクルクラブ編集部員の坂本さん(アンバウンドグラベルにも出場する強者)が撮ってくれた。ありがとう。

にぎやかだけれど、どこか優しく穏やかな時間が流れるグリーンスポーツ白馬に夜の帳が下りはじめた頃、参加者は三々五々それぞれの寝床へ。近くのキャンプ場でテントを張って焚火を囲む人、ペンションで宴会をする人、リゾートホテルに投宿する人など、スタイルは様々だ。

僕らは車にバイクを積んで、近くのホテルへ。子供ながらきちんとしたディナーをいただき、大浴場に飛び込み、部屋では一緒にポケモンカードの対戦をやった(パパはルールがよく分かってない)。そのどれもが、息子は楽しくて仕方がないようだった。明日もまた今日と同じように遊べるなんて、僕にとっても夢のようだった。

Day2へつづく

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